新年のことば 2010

「治療所の名称」

私は開業する当時、師匠である橋本敬三先生から、屋号はどうする、何か考えはあるかと聞かれ、この名称にしたいと言うと、すかさづ「なかなかいい。一生大切にしなさい」と言って下さった。

当時23歳だった私は師の指示によって「人体構造運動力学研究所」の名称を屋号として開業を果たした。この看板をみて来院してくれる患者は、まづいなかった。私もそれはわかりきっていたことではあったが、「大切にしなさい」と言われた師の言葉を、今も大切に守りつづけている。
看板として全く意味も機能もなさない、この名称に、なぜ師匠はこれでいい、一生大切にしなさい、と言い残されたのか。こういうことなのか、あヽいうことなのかと毎年自分に問いかけている。

名称で治る訳でもないのだから、「固有名詞」などはどうでもいいことなのだ。人体構造運動力学とは、からだに快をききわける、そのききわけさせ方の原点なのだ。ここからスタートして今ここに進化をとげた学びの場がある。

操体の臨床は8の数字と深くかかわりをもっている。からだの動きも8つ、分析も8つ、連動も8、快の診断法も8通り、8,8,8,8の連鎖数で、操体の臨床が成り立っている。

私の治療所の人体の屋号も8つの字数が関与する不思議なご縁で成り立っている。不思議なご縁には、なにか目的があり、意志がある、ということである。

人体構造運動力学研究所 所長
東京操体フォーラム 理事長
三浦 寛

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