新年の言葉(本文)

医道の日本誌「新年のことば」より

新年のことば(2015年)

人体構造運動力学研究所 所長 三浦寛

2500年前といえば孔子さまの時代にさかのぼる。当時の平均寿命はおよそ40代であり、
その記録によれば半数が35歳までに亡くなり、その半数が50歳くらいまで生きたようである。
孔子さまは74歳まで生きていた。現在平均寿命は女性が86歳、男性も80歳を越えた。

今問題になっていることは、健康寿命をいかに平均寿命に近づけていこうかという取り組みである。
健康寿命とは自立して生活できる状態を言い、
自立した状態で平均寿命に近づけていこうとする医療の取り組みである。
健康寿命の平均が72歳、平均寿命まで12歳、この隙間が問題なのである。
ひとえに人間の絶対寿命は120歳までらしい
戦国時代に、数え百歳まで生きた化け物のような男がいた。
江村専斎(1565年~1664年)といい、京都の医者である。
時の後水尾上皇も不思議に思い、御所に専斎と呼び尋ねると
「もとより他術なし。平生、ただ些(いささか)の一字を守るのみ」と言った。
その意味を聞くと、些とは少々ということで
「食べるのも少々」「考えるのも少々」「養生も少々」だけだと話した。

原文

養生の秘訣は別儀なし、飲食些く思慮も些し、ただ些の一字を体得するにあり

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葛岡霊園。墓前から見える「とんがり山」。